場の理論概論 I
開講学期 前学期 毎週月曜日 10:00-12:00 研究本館220号室
単位数 2
担当教員 北澤良久 教授、西村 淳 助教授
講義のねらい
素粒子現象を記述する理論的枠組として、場の理論の基礎を習得する。
講義計画
1.相対論的不変性
2.自由場の量子化
3.散乱断面積の計算
4.輻射補正と繰り込み
5.ゲージ理論における摂動計算
授業の具体的内容
第一回:素粒子理論の現状、非相対論的粒子の多体系を記述する場の理論
第二回:相対論的粒子の多体系を記述する場の理論(Klein-Gordon場とDirac場)
第三回:復習(生成消滅演算子を用いた調和振動子の量子化、汎関数微分、テンソル積)
第四回:スカラー場の理論における散乱振幅の摂動計算(treeレベル)、Wickの定理
第五回:散乱断面積の定義と具体的計算
第六回:散乱振幅に対するloop補正、プロパゲーターの導出
第七回:Feynman ruleの導出、2点グリーン関数と素粒子の質量の関係
第八回:2点グリーン関数に対する摂動論的表式、質量に対する輻射補正
第九回:エネルギーに対する摂動計算との関係、多点グリーン関数と散乱振幅(LSZ公式)
第十回:紫外発散とくりこみ、1-loopでのくりこみ、次元正則化
第十一回:くりこみ条件、くりこみ群、ベータ関数の計算、Green関数の経路積分表示
第十二回:Green関数の生成汎関数、有効作用
第十三回:有効作用の具体的な計算方法、湯川理論のFeynman rule
第十四回:フェルミオン場を含むGreen関数の経路積分表示、生成汎関数
第十五回:フェルミオン行列式、ゲージ対称性、ゲージ固定、Feynman rule
第十六回(補講):QEDにおける1-loopのくりこみ、ベータ関数の具体的計算
成績評価方法・基準
出席及びレポートの結果によって評価する。
出席は8割以上の出席率を単位取得の必要条件とする。
レポートは、授業中に与えた宿題のうち、10問を選択して提出する。
8割以上できている者を優、6割〜8割できている者を良、
4割〜6割できている者を可、4割以下のものを不可とする。
テキスト等
Peskin-Schroeder:"An Introduction to Quantum Field
Theory"のPart Iの内容を
網羅する予定だが、講義は必ずしもこの教科書に沿わない。
準備学習等
学生は講義の聴講と平行してPeskin-Schroederの輪講も行う。
従って講義では、具体的な計算を行う上での基本的な考え方を習得する
ことに重点を置き、演習問題的な部分については輪講で補うことにする。
講義の復習をする際は、板書で行った計算と講義中に出した宿題を、
必ず自分の手でやってみること。また講義中に、同テキストにおいて
参照すべき箇所を指示するので、各自読んで理解を深めること。
同テキストの5.5節、7.2節、10.3節の内容の理解をもって到達点と
するので、これらの節を予め読んでおくことにより、目標を持って
学ぶとよいだろう。
履修の条件
特になし。
その他
受け身の授業になってしまう事を避け、できるだけinteractiveな
授業にするため、講義中の積極的な質問を歓迎する。又こちらから
指名して簡単な問いに答えてもらうこともある。そうすることにより、
聴講者の理解度を見ながら講義を進める。
素粒子論概論 I
開講学期
前学期 毎週金曜日 10:00-12:00 研究本館220号室
単位数 2
担当教員
萩原 薫 教授、岡田安弘 教授
講義のねらい
素粒子の標準模型の全体像を把握することを、前期の講義の目標とします。
講義計画
まず、素粒子の相互作用のローレンツ不変性と対称性を用いて素粒子を整理し、
保存則と素粒子の質量の起源に対する現在の考え方を解説します。続いて、
量子電気力学、電磁気と弱い相互作用の統一理論、強い相互作用の量子色力学、
の順序で、標準模型を構成するゲージ場の理論の構造と現象論的帰結とを、
それぞれのラグランジュアンを出発点として導きます。
成績評価
出席、レポートをもとに評価する。
テキスト等
参考書を講義中に示す。
履修の条件
特になし。
ハドロン理論
開講学期
前学期 毎週木曜日 10:00-12:00 研究本館321号室
単位数 2
担当教員
熊野俊三 教授、森松 治 助教授
講義のねらい
核子と原子核の構造関数とパートン分布関数の基礎知識を習得する。
講義計画
1.電子・核子非弾性散乱入門
2.パートン分布関数
3.原子核の構造関数
4.偏極構造関数
成績評価
出席及びレポートの結果によって評価する
テキスト等
参考書を講義の中で示す。
履修の条件
相対論的量子力学の基礎知識を持っていること。
その他
パワーポイントを用いて講義を行う。
場の理論概論 II
開講学期 後学期
単位数 2
担当教員 北澤良久 教授、磯 暁 助教授
講義のねらい
前期に引き続き場の理論の基礎的な概念と手法を習得する。
講義計画
1.ゲージ場の量子論
2.対称性と量子異常
3.インスタントンなどの非摂動的効果
成績評価
出席とレポート提出の結果により評価する。
テキスト等
標準的な場の理論の教科書としては、Peskin が代表的。
他の教科書はまた授業で指示する。
履修の条件
前期の場の理論概論 Iの履修および習得が条件となる。
またリー代数に関する簡単な知識も仮定する。
素粒子論概論 II
開講学期 後学期
単位数 2
担当教員 岡田安弘 教授、野尻美保子 助教授
講義のねらい
前期の講義を前提として、素粒子標準模型の問題点と
その拡張について議論する。大統一理論、階層性問題、
暗黒物質問題について説明し、標準模型を解決する理論が
どのような素粒子像をもたらすかを説明する。
講義計画
1.量子補正と素粒子標準模型
2.大統一理論
3.超対称模型
4.宇宙における暗黒物質と素粒子模型
成績評価
出席、レポートをもとに評価する。
テキスト等
参考書を講義中に示す。
履修の条件
場の理論概論 I, 素粒子論概論 I の履修、あるいはそれと同等
特になし。
程度の内容を理解していることが望ましい。
素粒子現象論 I
開講学期 後学期
単位数 2
担当教員 萩原 薫教授、小平治郎 教授
講義のねらい
実験データと理論予言を比べる時重要となる、幾つかの概念を
その技術的側面とともに解説する。
講義計画
1.繰り込み群
2.スキーム依存性
3.摂動の高次項の振る舞い(renormalon)
4.摂動の再足し上げ(resummation)
5.質量特異性と因子化定理
成績評価
出席及びレポートの結果によって評価する
テキスト等
参考書を講義の中で示す。
履修の条件
特になし。
その他
自分の手による具体的な計算と講義中の積極的な質問を期待する。
素粒子現象論 II
開講学期
18年度開講予定はありません
単位数 2
担当教員 岡田安弘 教授、野尻美保子 助教授
講義のねらい
素粒子における階層性の問題を解決するためには 1TeV 領域において
新しい対称性とそれにともなう新粒子の存在が予言されている。
このような新しい素粒子が様々な実験によって探索されている。
この講義では素粒子標準模型を越える物理を実験的に検証する
方法について理解することを目的とする。
講義計画
1 標準模型を越える物理のもつ対称性
2 超対称模型
3 Little Higgs 模型
4 余剰次元模型
5 コライダーの物理との関係
6 フレーバーの物理との関係
成績評価
輪講形式を部分的に採用し、各自オリジナルな論文を最低
1つ選択して、発表するとともに、他の発表に対する質疑を
行うこと。
テキスト等
論文を講義中に示す。
履修の条件
場の理論概論 I II, 素粒子論概論 I , IIの履修
あるいはそれと同等以上の知識
超弦理論 I
開講学期
18年度開講予定はありません
単位数 2
担当教員 北澤良久 教授、磯 暁 助教授
講義のねらい
重力を量子化できる究極の理論として知られている超弦理論に
関して主に摂動的な側面の基礎知識を習得する。
講義計画
1 点粒子と弦の違い
2 ボソン型弦理論とその量子化
3 共形場の理論
4 弦の散乱振幅の計算
5 超弦理論の量子化
6 T双対性とDブレイン
成績評価
出席及びレポートの結果によって評価する
テキスト等
参考書を講義の中で示す。
履修の条件
場の理論を習得していること。
超弦理論 II
開講学期
18年度開講予定はありません
単位数 2
担当教員
北澤良久 教授、西村 淳 助教授
講義のねらい
超弦理論から物理的予言を引き出すために不可欠な
非摂動的なアプローチを講ずる。
講義計画
1.低次元弦理論の非摂動論的性質
2.D-ブレーンと行列模型
3.ゲージ/超重力・閉弦双対性
4.行列模型と非可換時空
成績評価
出席及びレポートの結果によって評価する
テキスト等
参考書を講義の中で示す。
履修の条件
場の理論、超弦理論 Iを習得していること。
場の理論特論 I
開講学期
18年度開講予定はありません
単位数 2
担当教員 湯川哲之 教授、西村 淳 助教授
講義のねらい
場の理論を非摂動的に研究する為の強力な手法であるモンテカルロ・
シミュレーションの基礎を習得し、量子重力や弦理論への応用について学ぶ。
講義計画
1.マルコフ過程に関する基礎
2.乱数発生法
3.アルゴリズム(熱浴法)
4.アルゴリズム(メトロポリス法)
5.量子重力、弦理論への応用
成績評価
出席及びレポートの結果によって評価する
テキスト等
講義の中で参考文献を適宜指定する。
履修の条件
プログラミング(FortranもしくはC)に関する基礎的な知識を仮定する。
その他
モンテカルロ・シミュレーションは場の理論を非摂動的に研究する為の強力な
方法として、特に素粒子論においては、QCDへの応用が大規模になされている。
この講義では素粒子論に現れるQCD以外の様々な問題に同様の方法が適用できる
事を理解し、パソコンを用いて具体的な計算を行えるようになる事を目標とする。
場の理論特論 II
開講学期
18年度開講予定はありません
単位数 2
担当教員 筒井 泉 助教授
講義のねらい
量子論の数学的、概念的基礎を理解し、場の量子論における対称性と
その表現に関する基礎知識を習得する。
講義計画
1.量子力学の数学的基礎
2.対称性とその表現
3.量子化とトポロジー
4.Bellの不等式と非局所性
5.場の量子論の構成
6.離散的対称性
7.CPT定理とスピンと統計定理
成績評価
出席及びレポートの結果によって評価する
テキスト等
参考書を講義の中で示す。
履修の条件
特になし。
その他
講義中の積極的な質問を歓迎する。
格子場の理論 I
開講学期
18年度開講予定はありません
単位数 2
担当教員
橋本省二 助教授, 太田滋生 助教授
講義のねらい
場の理論の非摂動的解析を可能とする手法としての
格子上の場の理論の基礎を理解する。
講義計画
1.格子場の理論入門
2.くりこみ群
3.ゲージ場の格子化
4.フェルミオン場の格子化
5.非摂動的計算手法
成績評価
出席及びレポートの結果によって評価する
テキスト等
参考書を講義の中で示す。
履修の条件
特になし。
格子場の理論 II
開講学期
18年度開講予定はありません
単位数 2
担当教員
太田滋生 助教授 , 橋本省二 助教授
講義のねらい
格子量子色力学の連続極限のとりかたとそのカイラル対称性および
フレーヴァー対称性との関係を理解し、ハドロンの質量や遷移行列要素
の数値計算法の基礎を理解することを目標とする。
講義計画
1.量子力学のファインマン経路積分による定式化の復習
2.格子上の場の量子論のファインマン経路積分による定式化
3.格子量子色力学(QCD)とその連続極限
4.カイラル対称性およびフレーヴァー対称性
5. 格子QCDのモンテカルロ数値計算法の基礎
6. 格子QCDの大規模数値計算によるハドロンの質量や遷移行列要素の計算の概要
成績評価
出席及びレポートの結果によって評価する
テキスト等
参考書を講義の中で示す。
履修の条件
量子力学の基礎知識。
ハドロン原子核概論 I
開講学期
18年度開講予定はありません
単位数 2
担当教員
熊野俊三 教授, 森松 治 助教授
講義のねらい
ハドロンと原子核の構造に関する基礎知識を習得する。
講義計画
1.原子核の基本的性質
2.原子核の構造
3.クォークとグルーオン
4.ハドロンの構造
成績評価
出席及びレポートの結果によって評価する
テキスト等
出席及びレポートの結果によって評価する。
履修の条件
量子力学を理解していること。
ハドロン原子核理論概論 II
開講学期
18年度開講予定はありません
単位数 2
担当教員
森松 治 助教授, 熊野 俊三 教授
講義のねらい
多体系の量子力学、特に零温度及び有限温度における
多体系のグリーン関数の概念と計算方法を習得する。
講義計画
1.序論(第二量子化、統計力学)
2.零温度におけるグリーン関数
3.有限温度におけるグリーン関数
4.物理系への応用
成績評価
出席及びレポートの結果によって評価する
テキスト等
参考書を講義の中で示す。
履修の条件
量子力学を理解していること。
2006-April-20(Thu)
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